人工呼吸器でよく耳にする用語
【人工呼吸器のモード】
人工呼吸器のチェックのとき、モード、というチェック項目があると思います。
モードには、基本的なモードとして,A/C,SIMV,CPAPの三種類があり、どれだけ患者の呼吸(吸気)を助けたいかによって選択されます
【人工呼吸器でよく使う用語】
・FiO2 吸入酸素濃度(エフアイ・オーツー)
実際に吸入された酸素濃度。空気中のFiO2は21%なので、人工呼吸器のFiO2は21%~100%で設定される
・I:E比(アイイーヒ)
吸気時間と呼気時間の比。正常では、呼気時間が長くI:E=1:2が正常。短い吸気時間に決まった量のガスを入れるには、吸気流量(スピード)を上げる必要がある。吸気流量が上がると気道内圧上昇につながる。
・一回換気量 Vt VT(tidal volume)
一回の呼吸で吸う量。正常は7~9mL/Kg(約500mL)。分時換気量÷1分間の呼吸回数や、呼気時間×吸気流量と同じ。
・換気回数、呼吸回数 f(frequency) RR(respiratory rate)
人工呼吸器で設定した換気回数(呼吸回数)のこと。
・気道抵抗 RAW(airway resistance)
気道内のガスの流れにくさ。1L/秒の気流が流れるために肺胞内と口腔内の圧力差がどれだけ必要かを計算して求められる。
・気道内圧 Paw(airway pressure)
気道内にかかる圧のこと。人工呼吸器では、気道内が陽圧となり、圧外傷をきたす恐れがあるため、気道内圧の管理は重要。気道内圧を左右するものとして、吸気圧、一回換気量、吸気流量、気道抵抗、PEEP、コンプライアンス、吸気努力、咳嗽反射などの要因がある。
・吸気圧 inspiratory pressure
人工呼吸器によって換気されているときに気道内圧にかかる圧のこと。PCVなどでは、最高級気圧が固定されているため、一回換気量に変化がおこる。
・コンプライアンス
肺や胸郭の伸びやすさ、柔らかさ、膨らみやすさを表す指標。コンプライアンスが低いとは、肺が硬いこと。肺炎やARDSなどの病的な状態では、コンプライアンスは低下する。
・CO2ナルコーシス
低換気によってCO2が蓄積し、意識障害をきたす症候群。高二酸化炭素血症とも呼ばれる。慢性閉塞性肺疾患の患者へ酸素過剰投与などでおこる。
・トリガー trigger
「引き金」と言う意味。人工呼吸器が患者の吸気を検知させる仕組みのこと。検知すると吸気が始まり、ガスが送気される。圧トリガーとフロートリガーがある。
・バッキング bucking
大きく咳き込んだ状態のこと。気管チューブやカニューレが刺激になったり、人工呼吸器とのリズムが合わなくなって咳嗽反射を誘発しておこる。バッキングをすると、気道内圧が高くなり危険。
・ファイティング fighting
患者の呼吸と人工呼吸器の設定が合わないこと。人工呼吸器の設定変更が必要。チューブの位置や気道内分泌物が原因となることもあり、原因究明が必要
・分時換気量 VE,MV
一分間の換気量のこと。一回換気量(mL)×換気回数(回/分)である。人工呼吸器の設定した分時換気量と実際の呼気分時換気量が大きく異る場合には、回路のリークを疑う。ミニッツボリュームともいう。
・リーク leak
空気が漏れること。回路の破損や接続不良、気管チューブのカフの破損、カフ圧が足りないことで気管チューブとの間に隙間ができて空気が漏れることなどを指す。換気量低下や気道内圧低下として現れる。
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