PIP(最高気道内圧)が高い時、低い時

PIPが高い時、低い時、というのは、複数の要因があり、簡単に説明することはできないのですが、ヘルパーが知っておいてほしい知識を簡単に掲載しておきます。


【PIP(気道内圧)が高い時】

気管支が細くなったり、痰がたまって気道の抵抗が強くなった場合は気道内圧が上昇します。

これは細いストローと太いストローを吹き比べたとき、どっちが楽か?と考えるとわかりやすいですね。

「楽」というのは抵抗(圧)が少ないということです。

それから肺線維症や加齢によって肺胞が硬くなっている場合も気道内圧が上がります。

(肺のやわらかさをコンプライアンスといい、硬い肺は『コンプライアンスが低い』と表現します。)

これは真新しい風船と使い古しの風船を膨らませるにはどっちが楽か?と考えるといいでしょう。

真新しい風船は硬くてなかなか膨らみません。

気道内圧に影響する利用者さん側の要因は「気道抵抗」と「コンプライアンス」ということになります。

呼吸器の設定条件の要因は、ひとつは一回換気量(Vt)です。

同じ風船だったら、たくさん膨らませた方(量が多い方が)が圧が高くなります。

もう一つは吸気流速。

同じ風船を膨らませるにしても、一気に膨らませるより、ゆっくりの方が楽ですね。

気道内圧に影響する呼吸器側の要因は「一回換気量」と「吸気流速」ということになります。

呼吸器の設定条件でも患者さんの状態でも、気道内圧は変化します。

(気道内圧が高い場合は、一回換気量や吸気流速を見直す必要があるかもしれません。

あるいは、モード(換気様式)そのものを変える方がいい場合もあります。このことについては、ヘルパーは知識として頭に入れておく程度でいいかと思います。)

また同じ条件でも1回1回気道内圧は変化します。

痰の貯留で上昇している場合は、吸引が必要になります。相対的にジリジリと上がってくるようであれば、肺の状態が悪化している可能性もあります。

気道内圧の一時的な上昇にはまた別の要因があります。

それは、利用者さんと呼吸器の仲たがい。ファイティングが起きたときです。

利用者さんの呼吸したいタイミングと呼吸器の換気のタイミングが合わずに一時的に気道内圧が上昇することがあります。

ヘルパーはまず、PIPが高くなったときは、痰の吸引回路の水切りを行いましょう。

ベッドの角度を上げたり、ネブライザをするとPIPが高くなる傾向にあることは覚えておきましょう。また、回路が屈曲して換気ができないこともありますので、回路もチェックしてください。例えば、排便前に力んだ状態、フォーレの管が折れているなどおしっこが詰まっていたり、お腹に圧がかかっているときなど、不快を感じられる場合にもPIPが高くなることがあります。普段から、利用者様の様子をよく観察しておきましょう。


【PIP(気道内圧)が低い時】

気道内圧が下がる、つまり回路が外れている場合に鳴るのですが、このアラームが滅多に鳴らないような設定にしてあったり、オフにしてあると外れたことがわかりません。

気づくのが遅れれば、死に直結します。

PIPが低くなったときは、まずはウオータートラップがしっかりしまっているかカフ漏れがないかを確認します。回路に亀裂が入っていないかを確認します。

まれに、回路の不良品があったり、カフの不良品があったりすることがあるようです。

利用者様によっては、ベッドの頭の位置の高さが指定されているので、それよりも低くなっていないかを確認します。

利用者様が眠っていて状態が安定している場合にも、PIPはやや下がります。

日頃のご利用者様の様子をよく知っておくことが大切です。

PIPが低くなり、原因不明のアラーム音がなったら、サーチュレーションをして、必要ならアンビューバックを使用します。

人工呼吸器のエラーメッセージを確認し、リーク(回路の空気漏れ)がないか確認します。

携帯電話のスピーカーで話せるようにして、必要機関に電話します。

主治医か訪問看護ステーションに連絡、もしくは、人工呼吸器メーカー(フィリップスなど)に連絡します。


スタッフO記載(アドバイザー Sクリニック E看護師)


気道内圧について(外部サイト)


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